育児・介護休業法が変わります!

働くパパさんも、育児に参加していますか。

 

令和4年7月29日に厚生労働省が発表した令和3年度雇用均等基本調査によると、育児休業取得者の割合は、女性85・1%(前年度81・6%)、男性13・97%(同12・65%)です。

少しずつ増えており、男性の取得率の政府目標は「令和2年:13%」「令和7年:30%」ですから、まずまずの努力と見えるかもしれません。

しかし……。中身が問題です。

雇用均等基本調査を見続けていくと、その実態が分かってきます。

女性で取得期間が多いのは、「12カ月~18カ月未満」と「10カ月~12カ月未満」。

これに対して、男性の取得期間は「5日未満」と「5日~2週間未満」で半数を超えています。

そうなんです。育児休業といっても、この程度なんです。夏期休暇や結婚休暇とあまり変わらないのが実情です。ママさんから見れば、「この程度の育休で、育メンなんて言わないでよ!」といった声が聞こえてきそうです。

ちなみに、女性で最も多いのは「12カ月~18カ月未満」。男性の取得は0.9%にすぎません。この数字を見ると、子育ての男女によるシェアはまだまだ遠いようです

では、パパさんが悪いのでしょうか。確かに、育児休業明けに「仕事の方が楽だわ~」といいながら職場復帰して、子育て中の同僚女性から白い目で見られる男性もいますよね。

ですが、こんなデータもあります。

男性・正社員に育児休業制度を利用しなかった理由を聞くと、複数回答で最も多かったのが「収入を減らしたくなかったから」(41・4%)、2番目は「職場が育児休業制度を取得しづらい雰囲気だったから、または会社や上司、職場の育児休業取得への理解がなかったから」(27・3%)でした(出典:厚生労働省委託事業「令和2年度 仕事と育児等の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書」(株式会社日本能率協会総合研究所))。

収入減については、ひょっとしたら、雇用保険の育児休業給付金(注1)が男性も対象になっていることが知られていないのかもしれません。それが周知されていたとしても、2番目の「職場が、育児休業を取得しにくい雰囲気」というのは、どうでしょうか。

「そう、そう」と大きく頷いているパパさんも多いのでは。

10月から育児休業が変わる。「産後パパ育休」

 

育児・介護休業法が令和4~5年の3段階で改正され、特に令和4年10月1日から大きく変わります。就業規則の変更も必要です、事業主さんはご注意ください。

ざっと見てみますね。

■令和4年4月1日施行■

①本人、または、配偶者の妊娠・出産等の申し出た労働者に対し、事業主は育児休業制度等に関する次の事項の周知と、休業取得の以降確認の措置を、個別に行わなければなりません。

・育児休業・出生時育児休業(産後パパ育休)に関する制度

・育児休業・産後パパ休の申し出先

・育児休業給付に関すること

・育児休業中の社会保険料の取扱い

②事業主は育児休業等に関する研修実施、相談窓口設置、育児休業取得に関する方針の周知

③有期雇用労働者の育児休業の取得要件緩和

 a)引き続き雇用された期間が1年以上

 b)子どもが1歳6カ月になるまでの間に雇用契約が満了することが明らかでない

従来はa、bの要件が必要でしたが、aの要件が不要となりました。

おおざっぱに説明すると、事業主は子どもができたパパ、ママに育児休業に関する制度を説明し、取得しやすい雰囲気づくりをすることになったんです。

■令和4年10月1日施行■

育児休業とは別に出生時育児休業(産後パパ育休)が設けられました。 
次回、改めて詳しく説明しますが、ここでは概略をお伝えしますね。

産後パパ育休というのは、これでまでの育児休業とは別の休暇制度です。

例えば、妻の出産後、8週間以内の子を養育するための休業。4週間(28日)を限度に取得でき、2回に分割することが可能です。

また、令和4年10月から育児休業を2回に分割して取得することも可能になりますから、1歳までの間に、パパさんは産後パパ育休で2回、育児休業で2回、お休みを計4回取ることが可能になるのです。小分けに休みが取れるということですね。

■令和5年4月1日施行■

常時雇用する労働者が1,000人を超える事業主は、育児休業などの取得状況を年1回公表することが義務付けられます。

注1)休業開始から180日間の支給額=休業開始時賃金日額✕支給日数(30日)✕0.67

         181日目以降の支給額=休業開始時賃金日額✕支給日数(30日)✕0.5

★令和4年10月からの改正は少々複雑ですので、次回、改めて、ここだけを詳しく解説します。

以下、ご参考にどうぞ。

育児・介護休業法解説
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000909605.pdf

育児休業等の経済支援
https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/pdf/ikuji_r02_01_04.pdf

育児休業給付
https://www.lcgjapan.com/pdf/lb05151.pdf

両立支援等助成金

https://www.mhlw.go.jp/content/000927768.pdf

特定社会保険労務士 中部 剛

特定社会保険労務士 中部 剛

職場のメンタルヘルスを大切に

33年の新聞記者経験を経て特定社会保険労務士となりました。記者時代は過労死、メンタルヘルスを中心に取材し、生き生きと自分らしく働ける「ディーセント・ワーク」の大切さを痛感しました。従業員が健康的に働かなければ生産性も上がりません。経営者にとっても、労働者にとってもより良い職場づくりをサポートします。

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