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<企業向け>パワハラ防止法対応と実務対策を社労士が解説!

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2025.11.03

パワーハラスメント対応に頭を痛めている企業は多くあります。令和5年度・職場のハラスメントに関する実態調査報告書(厚生労働省委託事業)には、過去3年間に各種ハラスメントの相談があったと回答した企業の割合が示されており、そのうち、パワハラは64.2%に達し最もその割合が高い。

2022年からは中小企業にも「パワハラ防止法」が適用されており、企業として適切に対応しないと、労働トラブルや行政指導につながるリスクがあります。この記事では、企業が今すぐ実践すべきパワハラ防止の体制づくりと実務対策をわかりやすく解説します。就業規則の見直しから相談体制の整備まで、法令遵守と職場改善を両立するためのポイントを押さえましょう。

パワハラ防止法とは?企業に課される義務

パワハラ防止法の概要と背景

パワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)は、職場におけるパワーハラスメントを防止するため、企業に対して防止措置を義務付けた法律です。2020年から大企業、2022年から中小企業にも適用されています。背景には、職場内トラブルの増加や離職率上昇など、社会的な課題の深刻化があります。企業は、パワハラ行為の防止だけでなく、発生時の迅速な対応、再発防止策の実施が求められます。つまり、単なる形式的対応ではなく、組織全体でハラスメントを許さない文化を醸成することが重要です。

企業に求められる具体的な措置

企業は、①方針の明確化と周知、②相談体制の整備、③発生時の適切な対応、④再発防止のための教育、の4つを実施しなければなりません。これらを怠ると、厚生労働省から指導を受ける可能性もあります。特に中小企業では体制構築の遅れが指摘されており、社労士など専門家の支援を受けることで、法令遵守と実効性ある運用の両立が可能になりま

パワハラ防止のために必要な体制づくり

就業規則への明文化と社内ルールの整備

まず重要なのは、「パワハラ行為を禁止する旨」を就業規則に明記することです。定義や懲戒処分の基準を明確にすることで、社員への抑止効果が高まります。また、相談方法や調査手順など、社内ルールを細かく整えることで、対応のばらつきを防ぎます。社労士はこうした規程作成を法令に基づいて支援し、企業のリスクを最小限に抑える役割を果たします。

相談窓口・報告体制の構築

従業員が安心して相談できる環境を整えることも重要です。社内窓口だけでなく、外部専門家(社労士・産業カウンセラーなど)を併用することで、客観的かつ中立的な対応が可能になります。相談から報告、対応、再発防止までのフローを明文化しておくと、トラブル時の混乱を防げます。相談件数を記録し、定期的に分析・改善する仕組みも有効です。

管理職・従業員への教育と研修の重要性

管理職研修で防止意識を高める

管理職は日常的に部下との関わりが多く、パワハラ防止の最前線に立つ存在です。意識の欠如がトラブルの温床となるため、パワハラの定義・言動の線引き・適切な指導方法を学ぶ研修が不可欠です。社労士が実施するケーススタディ研修は、実例に基づいた理解を深めるのに有効です。

従業員向け研修で職場文化を変える

従業員も「どんな行為がパワハラにあたるのか」「被害時の相談方法」などを正しく理解する必要があります。研修やeラーニングを通じて、全社員が共通の認識を持つことで、職場全体のコミュニケーションが改善します。定期的な研修で風通しのよい職場文化を根づかせましょう。

実務で注意すべきパワハラ事例と対応策

よくあるパワハラ行為の具体例

典型的なパワハラ行為には、人格を否定する発言、過度な指導、業務からの排除などがあります。指導とハラスメントの線引きが難しいケースも多く、「本人の主観」だけでなく「社会通念上の適正さ」が判断基準になります。これを理解しておくことで、管理職は適切なマネジメントを行えるようになります。

トラブル発生時の適切な初動対応

万が一トラブルが発生した場合、まずは迅速に事実関係を確認し、関係者を分離するなどの一次対応が必要です。調査の過程では、当事者のプライバシー保護を徹底し、記録を残すことが重要です。社労士は、第三者として公正な立場から調査や報告書の作成支援を行い、企業が法的リスクを回避できるようサポートします。

社労士がサポートできるパワハラ防止支援

規程整備・教育研修・相談窓口設置の支援内容

社労士は、法改正に基づいた就業規則の見直し、管理職研修、相談窓口の設置などを包括的に支援します。特に中小企業では、専任の人事担当がいないケースも多く、社労士が外部人事パートナーとして実務面をサポートすることで、安心して制度を運用できます。

社労士へ相談するメリットと導入事例

専門家のサポートにより、パワハラ防止体制を短期間で整備でき、社員の安心感や企業の信頼性が高まります。実際に社労士支援を導入した企業では、相談件数の減少や離職率の改善など、明確な効果が報告されています。社内での対応に限界を感じる場合は、早めの相談が成功のカギです。

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