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ストレスチェックが意味ない会社の特徴とは-義務化をリスク対策に変えるポイント

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2026.02.08

令和7年の労働安全衛生法の改正により、労働者数 50人未満の事業場におけるストレスチェックの実施が義務化されました。施行は、「令和7年5月14日公布の日から政令で定める3年以内の日」と定められていますので、中小企業も準備が必要です。ですが、「ストレスチェックは意味ない」「義務だから仕方ない…」——そう感じている事業主、担当者も少なくないのではないでしょうか。しかし、その状態こそが労務リスクを高めている可能性があります。ストレスチェック制度は、正しく運用すればメンタル不調の予防だけでなく、労災・休職・紛争リスクを下げる重要な仕組みです。本記事では、義務化された制度を“企業を守るリスク対策”へ変えるための実務ポイントを社労士の視点で解説します。

ストレスチェックが「意味ない」と感じられる理由

ストレスチェックが意味ないと感じられる最大の理由は、制度の目的が正しく理解されていない点にあります。本来の目的は、労働者自身のストレスへの気づきと、職場環境改善によるメンタル不調の未然防止です。しかし、すでに実施している50人以上の企業でも「法律で決まっているから」「監督署対策として」といった考えにとどまり、従業員にとってのメリットが伝わっていないケースが多く見られます。その結果、回答は形だけ、分析結果も未活用となり、「やっても意味がない制度」という印象が定着します。制度の本質を共有しないまま実施を続けること自体が、形骸化を招く要因となっているのです。

意味ない会社に共通する運用上の特徴

ストレスチェックが意味ない会社には、共通する運用上の問題があります。代表的なのが、高ストレス者が出ても面接指導につながらず、事後対応が行われていないケースです。これは安全配慮義務の観点からもリスクが高く、後に労災や紛争へ発展する可能性があります。また、集団分析を実施していても「結果を見ただけ」で終わり、職場改善に反映されていない会社も少なくありません。本来、集団分析は長時間労働や人間関係など、組織の課題を可視化する重要な資料です。これを活かさない限り、制度が意味を持つことはありません。

ストレスチェックの流れ(小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル (素案)より)

「意味ない」が「危ない」に変わる瞬間

ストレスチェックを形だけで終わらせていると、「意味ない」で済まされていた制度が、ある日突然「危ない制度」へと変わります。例えば、高ストレス状態が把握されていたにもかかわらず、何の対応もされないまま従業員が休職・退職した場合、会社の安全配慮義務が問われることがあります。また、精神疾患による労災申請や損害賠償請求の場面では、「ストレスチェック結果をどう扱っていたか」が重要な判断材料になります。制度を実施していたこと自体が免責になるわけではなく、運用実態こそがリスク評価の対象となる点に注意が必要です。

義務化をリスク対策に変える実務ポイント

ストレスチェックをリスク対策として機能させるためには、実務面の整備が欠かせません。まず重要なのは、制度の目的や個人情報の取扱いについて、従業員へ丁寧に説明することです。不信感がある状態では正確な回答は得られません。次に、面接指導の申出や職場改善の流れをルールとして明確化し、担当者任せにしない体制を整えることが重要です。集団分析の結果についても、衛生委員会などで検討し、改善策を検討・記録に残すことで、「やりっぱなし」を防ぐことができます。

社労士が関与することで変わること

ストレスチェック制度は、法律・個人情報・メンタルヘルスが絡むため、企業単独での運用には限界があります。社労士が関与することで、法令に沿った制度設計と、現場に合った実務運用の両立が可能になります。例えば、実施規程の整備、面接指導フローの構築、衛生委員会での活用方法などを整理することで、制度が「意味ないもの」から「会社を守る仕組み」へと変わります。義務化対応に不安がある場合は、問題が起きる前に専門家へ相談することが、最大のリスク対策と言えます。
50人未満の事業場は、これから制度の整備が本格化するのでしょう。令和7年11月20日、厚生労働省の「ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_38890.html)が50人未満の事業場をターゲットにした「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル (素案)」を公表しています。小規模事業所の場合、労働者のプライバシーに特に注意しなければなりません。

50人未満の事業場で、ストレスチェックのことがよく分からない、という事業主さま、ご担当者さまはお気軽にお問い合わせください。

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