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令和7年版過労死防止白書を徹底解説

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2025.12.31

令和7年版過労死等防止対策白書が令和7年10月28日に公表され、長時間労働やメンタルヘルス対策に関する国の最新方針が明らかになりました。白書では、過労死等の発生状況に加え、企業に求められる具体的な防止対策や労務管理上の課題が整理されています。白書は300ページを超える膨大な内容ですが、ポイントをしぼって解説するとともに、企業が今すぐ取り組むべき実務対応について解説します。労務リスクを未然に防ぎたい経営者・人事担当者必見の内容です。

過労死等防止対策白書とは何か

過労死等防止対策白書は、「過労死等防止対策推進法」に基づき、政府が毎年国会へ報告する年次報告書です。令和7年版では、長時間労働や過重業務、職場の心理的負荷が依然として深刻な社会課題であることが改めて示されています。単なる統計資料ではなく、国が重視する対策の方向性や、企業・自治体に期待される役割が明確化されている点が特徴です。企業にとっては、自社の労務管理が社会的要請に適合しているかを確認する重要な指標となります。

労災の精神障害、目立つ上司とのトラブル

精神障害の労災請求は右肩上がり


令和7年版白書では、過労死・過労自殺に関する請求件数や認定状況が分析されています。特に、長時間労働に加え、パワハラや人間関係など複合的な要因が精神障害の発症につながるケースが多い点が強調されています。また、業種別・年齢別の傾向も示され、中小企業における労務管理体制の脆弱さが課題として浮き彫りになっています。
請求件数は右肩上がりで上昇。グラフ(出典:令和7年過労死等防災対策白書)左は自殺を除いた請求件数を示していますが、令和6年度は女性1930件、男性1648件に達しています。グラフ右の業種別では製造業や医療・福祉が依然として多いようです。

対人関係が問題、なかでも上司


支給・不支給の決定件数のうち、その出来事を分類すると、令和6年度は対人関係が最も多く1519件(グラフ左)、そのうち「上司とのトラブル」(グラフ右)が6割以上を占めています(出典:令和7年過労死等防災対策白書)。これはどこの企業でもありうることではないでしょうか。これらのデータは、企業がリスクを客観的に把握し、対策を検討する上で重要な示唆を与えています。

国が強調する「長時間労働是正」と企業の責務

白書では引き続き、時間外労働の上限規制遵守と適正な労働時間管理の重要性が強調されています。特に、自己申告制の運用や管理職の黙認による長時間労働が問題視されています。企業には、36協定の適正運用だけでなく、客観的な労働時間把握や業務量の見直しが求められます。長時間労働の是正は、法令遵守にとどまらず、過労死等防止という社会的責任を果たすための基本的な取り組みであることが、令和7年版白書から読み取れます。

メンタルヘルス対策・ハラスメント防止の重要性

令和7年版白書では、精神障害による労災認定事案を踏まえ、メンタルヘルス対策の重要性が一層強調されています。ストレスチェック制度の活用や、産業医・外部専門家との連携が有効な手段として挙げられています。また、パワハラ防止法に基づく体制整備が不十分な企業では、重大な労務トラブルに発展するリスクが高いとされています。メンタル不調の予防は、個人の問題ではなく、企業全体のマネジメント課題である点が明確に示されています。50人未満の事業所もストレスチェックの義務化が決まりましたので、対応が求められているところです。

企業が今すぐ取り組むべき実務対応

令和7年版白書を踏まえ、企業が取るべき対応は明確です。第一に、労働時間管理の実効性を再点検し、形骸化した運用を是正すること。第二に、メンタルヘルスやハラスメントに関する相談体制を整備し、早期対応を可能にすることです。さらに、管理職への教育・研修を通じて「過労を生まない職場づくり」を浸透させることが重要です。白書の内容を自社に置き換えて検証することが、過労死等防止と企業リスク低減の第一歩となります。
白書が示すとおり、長時間労働やメンタルヘルス不調への対応は、今やすべての企業にとって避けて通れない経営課題です。「自社の労務管理は本当に問題ないのか」「過労死リスクをどう防げばよいのか」と不安を感じていませんか。
社会保険労務士は、労働時間管理・36協定の適正運用、メンタルヘルス対策・ストレスチェック制度の活用、パワハラ防止体制の構築、労災・紛争リスクを見据えた予防型労務管理について、企業実務に即した具体的な支援が可能です。

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