労災の精神障害、支給決定は3割
厚生労働省が令和6年度の精神障害の労災補償状況を公表しています。請求件数は過去最多の3780件、支給決定件数も前年度比172件増の1055件に達しています。しかし、不支給を含めた支給決定3494件のうち支給決定された割合、つまり認定率は30・2%にとどまり、前年度の34・2%を下回っています。精神障害の労災認定はとても厳しいと言えるでしょう。
申請件数は急上昇
ここでは、うつ病の労災申請の流れ・必要書類・注意点を、初めての方にもわかりやすく解説します。
【1】うつ病でも労災認定されるの?
結論から言うと、うつ病は労災認定されることがあります。
厚生労働省の「心理的負荷による精神障害の労災認定基準」では、以下のような場合に認められることがあります。
長時間労働・過重労働(例:月100時間超の残業)
パワハラ・セクハラ・いじめ
重大なトラブル(配置転換・倒産・クレームなど)
業務上の強いストレスによる急激な環境変化
ポイントは、業務との因果関係が認められるかどうかです。
【2】うつ病の労災申請に必要な準備
主な必要書類
労災保険請求書(様式第8号)
→「休業補償給付」など目的によって様式が異なります。
医師の診断書
→うつ病の診断名(例:うつ病、適応障害)と発症日を明記。
業務内容・勤務実態の証明資料
→タイムカード、勤務表、メール記録など。
職場の状況を示す資料
→上司や同僚の証言、ハラスメント記録など。
【3】うつ病の労災申請の流れ(ステップ別)
ステップ1:主治医に相談
まずはうつ病が「業務に起因している可能性」があるかを主治医に相談します。
ステップ2:労働基準監督署へ相談
最寄りの労働基準監督署の労災課で、申請書類や手続き方法を確認します。
相談は無料・匿名でも可能です。
ステップ3:申請書類を提出
必要書類をそろえて、労基署に労災請求書を提出します。
このとき、会社の証明欄が必要になる場合がありますが、会社が非協力的でも申請は可能です。
ステップ4:労災認定の審査
労基署が、医師の診断書・勤務実態・職場環境をもとに調査します。
審査期間は平均で6か月〜1年ほどです。
ステップ5:認定後の給付
労災認定されると、以下のような給付が受けられます。
休業補償給付(給料の約8割)
療養補償給付(医療費全額)
障害補償給付(後遺障害が残る場合)
【4】労災申請が認められやすくなるポイント
勤務記録を保存(残業時間・メール送信記録など)
上司とのやり取りをメモ(ハラスメントの証拠)
早めに専門家へ相談(社会保険労務士・弁護士)
労災に強い社会保険労務士(社労士)や弁護士に相談することで、書類の作成や証拠整理をスムーズに行えます。
【5】うつ病の労災申請でよくある質問(Q&A)
Q1. 会社が認めてくれないと申請できない?
→いいえ。本人が直接労基署に申請できます。
Q2. 退職後でも申請できる?
→はい。発症から5年以内であれば、退職後でも申請可能です。
Q3. 認定されない場合はどうすればいい?
→不服申立て(審査請求)を行うことができます。専門家のサポートが有効です。
【まとめ】うつ病の労災申請は専門家に相談を
うつ病による労災申請は、
医師の診断書
勤務実態の証拠
因果関係の説明
がカギになります。
自分ひとりで抱え込まず、早めに相談してください。
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